本を旅する。

コロナで旅行に行けないので、最近は旅の本を読む機会が多い。
この時期、旅好きでそんな人は多いかもしれない。

初めて行った海外がバリ島だった。
かなり昔であるが。その時成田空港の書店で大竹昭子のバリ島の本を購入した。著者初の本だったと思う。写真は内藤忠行だった。
飛行機の中で読みながらこれから向かう世界にワクワクした記憶がある。

この「旅ではなぜかよく眠り」大竹昭子でもバリの話が出てくる。著者が夜おそくなり、デンパサールの首都から宿泊してる村のコテージまで帰る足がなくなり、地元の青年のバイクの後ろにまたがり送ってもらう。
あまりの夜の闇の深さに地元の青年でさえ畏怖している話が描かれている。

あの頃のバリは、まだ今ほど観光化されていなかった。
飛行機は深夜に着陸。飛行機からタラップが下され、はじめての世界に足をおろした。
タラップを降りると、バリ島の人たちから歓迎の花の首飾りをかけてもらった。
ブーゲンビリアだった。
濃密な闇の中で、微かに花の香りが広がった。一瞬にして、香りは闇に飲み込まれた。
飛行場から離れると、その闇は、より一層深さを増した。経験したことのない闇にだった。
闇の奥に、日本では感じることのない、魑魅魍魎、妖怪が潜んでいる気配を感じた。

いたる場所に街灯やビルの光がある日本では妖怪たちも住めないだろう。
そんな魑魅魍魎たちは、居場所をなくして、信仰心があつく神様を大事に祀るこの島に集まってきているのだと思った。

旅は、いつも眠りと現実の境界線上の物語のようだ。
思い出すたびに、甘美な睡魔がしのびよってくる・・・・。






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